30年代ジャズ-Maxine Sullivan

Share

最近、1930年代から40年代のジャズ・ヴォーカルものにはまっています。きっかけはテレビで流れているHP のコマーシャル、 Change + HP / HP BladeSystem編。クラリネットの音にはじまって、Blue skies~と粋に歌い出すこの曲、一体誰が歌っているんだろう、といつも疑問に思っていました。声からすると、エラのうんと若い頃かなあ、それにしてはアレンジはもっと前の年代のものみたいだし、うーん、わからん、と思ってネット検索したら、出てきたのはMaxine Sullivan。えー、うそ! ワタシが持っているコンピレーションに入っているのはすんごいハスキーヴォイスなのに。調べてみたら、コンピの方は1985年富士通コンコードジャズフェスティバルのライブで、マキシンが亡くなる前々年の録音。そのとき74歳だったそうで、これが最後のマキシンの録音となり、彼女のプロフを載せているサイトやライナーノーツは申し合わせたように「Fujitsu」のライブが最後だったと記述してあるのでした。これ1枚でマキシン知ってる~と思いこんでいたなんて、なんと申し訳ないことをしたのでしょう。

050415 HP CF 歌い出しと同じBlue Skiesというこの歌、そしてこの声、本当に不思議です。はじめて聞いたのになつかしい。70年も前に歌われたのに、なぜかモダン。映像の詳しい背景はわかりませんが、きっと歩いているのはニューヨークのエグゼクティブ。ITとか金融関係のビジネス・パーソンが仕事をしているときの映像にぴったりはまる曲です。歌詞はというと、青空が微笑む、とか、青い鳥が歌う、なんていうものなので、都会やビジネスは全く関係なんですけどね、あのコード進行がモダンな感じを出すのでしょうか。
とにかくこの曲が入ったCDを、ということで買ったのがCocktail Hourというタイトルのベスト版です。2枚組ですが、アマゾンにてなんと1,730円。ワンクリックで即買いでした。聴いてみると、Nice Work You Can Get It や、Everytime I Say Goodby, Night and Dayなど、おしゃれっぽい歌が多くて、すっかりお気に入りです。でも、さすがにこの値段では解説がほとんどついてなくて、それぞれいつ録音されたものか、誰が演奏しているのか、ちーともわかりません(泣) もうひとつ、ちゃんとジャケットに本人の写真が入っているやつを買わなくちゃなあ、やっぱり。
通して聞いてみて、なんというか、初期のビリーホリディの時代に共通するものがあるな、と思いましたね。ちょっと裏声っぽい高い声。スキャットもハデなフェイクもなし。リズムは「スッチャ、スッチャ」とか「ズン、ズン、ズン、ズン」て感じで、歌の間のドラムはほとんどブラシ。昔の録音技術ではいたしかたないところです。でも、すんごくスィングしている。歌詞は単純で覚えやすいから、思わずBule Skies~なんて一緒に歌っちゃいます。いいなあ、30年代。
でも、ひとつ疑問が。まあ、SP時代の録音なんで、どんなに長くても3分半を超えるものは無いわけですが(注)、この曲、マキシンのような歌い手さんが歌っているからこそ、飽きずにいつまでも聞いていたい、と思うのであって、例えばワタシなんぞがセッションやライブなんかで歌ったらどうなるか。あまりの単調さに聞いている方は2コラース目の真ん中へんで飽きちゃうのではないかと思うのですね。
これを解決するにはどうしたらいいんですかねえ。大声張り上げたり、むちゃくちゃスキャットやったりはできませんですね、この手の小粋な小唄は。声のみで聞かせる、っていうところですか。あとは30年代独特のスィング感を出すのかなあ。うーん、むずかしい。まあ、当分はお風呂で鼻歌、ですかねえ。でもいつかはやってみたいですね、30年代ジャズライブ、あるいは、セッション。


(注)ワカモノ諸君はなんのことだかわからないと思いますが、MP3より前のCDより前のアナログレコードというものはですね、最新のものはLPといって45分入るのですが、ドーナツ盤と呼ばれたシングルレコード、すなわちEPの前にさらにSPというものがあって、こいつが1分間に78回転もするくせに、録音時間の限界が3分半だったのですね。歌謡曲1曲3分、というのはこの時代の名残なわけです。思えばこの習慣は随分長く残ったんですねえ。SPがなくなって数十年経っても、シングル盤1曲はずーっと3分で、クィーンの「ボヘミアンラプソディ」が出たときは、あまりの長さにぶっとんだものでした。もっとも「長い」ことがわかるほど「長く」かけてくれたラジオを聴いたのは随分後になってからでしたけどね。

Lucy

Second Lifeに棲息しつつ、いろいろと音楽を勉強中です。詳しいプロフィールはこちら http://lucytakakura.com/about-lucy

30年代ジャズ-Maxine Sullivan」への5件のフィードバック

  • 2005年4月16日 01:07
    パーマリンク

    某所ではお世話になっております。
    Bohemain〜の5'55"にも確かにビックリなんですが、あたしゃそれより
    Live Killersからのシングル「Love Of My Life」の裏の「Now I'm Here」が
    ドーナツ盤にも拘わらず8'40"フル収録されたことに当時驚愕しました。
    「こんなんちゃんとかかるんかいな」と。
    余談ですが当時家にあった電蓄(この言葉も今は死語だな)にはちゃんと
    78回転もついていたので、SPというものがあった事実も何故か知っていた
    ワタシはやっぱり音楽に関しては早熟だったのかも(笑)。

    返信
  • 2005年4月16日 01:09
    パーマリンク

    マキシン・サリヴァンさんは生で聴いたことがあります。いつ聴いたか全く覚えがないのです。恐らく、’80年代の前半だったと思います。場所は静岡駅前のアソシアというホテルでした。小柄でシャキっとしたおばあさんで、矍鑠とされていた印象があります。声にもハリがあって、凄いなぁって感じで聴いていました。バックは多分、当時売リ出していたスコット・ハミルトン(ts)のバンドではなかったかと思います。
     ブルー・スカイは古い歌ですね。確か80年代だと思いますが、ウィリー・ネルソンがカントリーっぽく実に味のあるヴォーカルでマイナー・ヒットさせていたかと思います。
     自分もずっと以前にとあるデパートの中古レコード市で買ったSPを何枚か持っていますが、一度聴いただけで、その後78回転を再生できるステレオが壊れてしまい、今は聴けません。第二次大戦前後で、米軍の慰問用に作られたV-diskという盤ですが、これは3分前後ということはなくて12inchの盤なので、そこそこ長い演奏になっていたかと思います。バド・ジョンソン(ts)のバンドによる極上のジャズでした。後、チャーリー・パーカーのウィズ・ストリングスで、曲:サマータイムのSPもあるのですが、これはLPや多分CD化されていると思います。これらのSPはそれはそれでメリハリのある良い音がしていたと記憶しています。機会(機械)があったらもう一度聴いてみたいです。>手持ちSP。
     とりとめのない話になってしまいました。

    返信
  • 2005年4月17日 20:05
    パーマリンク

    >ぶらいあん氏
     ジャズにコメント、、、あれ? あ、そうか、きっとHPのBlade Serverの解説かな? と思ったら、SP盤だったのね(^^;) いや、それにしても、Live Kilersからのシングル盤っていうのも当時は知らなかったし、Now I'm Hereの8分40秒ってのも読んでびっくりでした。EP盤って6分くらいが限界だと思ってたけど、随分長時間録音できたんですねえ。インパクトのあるコメントでした(笑)

    返信
  • 2005年4月17日 20:27
    パーマリンク

    >じょんさん
     さすが、じょんさん! 生でお聞きだったとは、、、彼女のプロフを載せていたサイトには86年とあるので、そう書いたのですが、今コンピをあらためて見たら富士通コンコルドジャズで来日したのは85年だったようです(この記事も修正しておきました。サイトへのリンクもヘンでしたね(^^;) これも直しました)。スコット・ハミルトンとの共演なので、じょんさんがご覧になったのも85年ということでほぼ間違いないと思います。
     V-discをお持ちだなんて、すごいですねえ。話には聞いていますが、現物は見たことがありません。残念ながらSPはついに一度も聞いたことがありませんでした。でもね、あったんですよ、うちにも。なぜか「早稲田大學校歌」って右から始まる横書きで書いてあったのが(^^;) あれがジャズだったら取っておいたかもしれませんねえ。
     

    返信
  • 2005年4月22日 22:38
    パーマリンク

     レス、ありがとうございます。1985年だったのでたのですね。もう20年も前のこと、どんな曲を歌われたのかも覚えていないですが、スィング調であったことだけは覚えています。調べてみたら、1911年生まれですから、74歳頃の来日だったんだ。とても、そんな歳には見えませんでした。声もハリがあったし、トークも交えて実にリラックスした雰囲気のライブだったように思います。亡くなったのが、1987年とありますので、亡くなるちょっと前だったのですね。ピアニストとのテディー・ウィルソンもですが、断続的にでもずっと演奏を続けられるってこと自体が凄いことですね。花火のように2~3年で散ってしまい、伝説となったミュージシャンも多いですが、逆に長期にわたって良い音楽をコンスタントに送り続けることの偉大さも認識しなくてはと思います。
     V-diskは、戦争のおとし子みたいな存在です。がぁーがぁーぴーぴーというスクラッチ・ノイズの向こうに、当時の文化が垣間見られて、それはそれで想像力をかきたてられました。こういう音楽をかけて、ダンスでもしてたのかなぁ?とか。(^^) V-diskの重要な録音は何年か前(といっても、10年以上前だったか)にLP化されたと思います。でも、復刻されなかった録音は、永遠にSPの溝に刻まれて、そのまま忘れ去られるのかなと思うと、ちょっと寂しい気もします。というか、どの音楽も良いものがものが残る・・・ということなのかもしれませんね。
     

    返信

コメントを残す