マグロウヒル、CEOが情報リークでiPadのプレゼンからはずされる
なーんだ、でっかいtouchじゃん、などと一部ではがっかり感が漂っているiPadでありますが、個人的にはこれから発展するであろうiBookがとても楽しみ。まだ ここ には、iBook is available in the U.S. only.と書いてあってちょっと残念なのですが、世界に広がっていくのも時間の問題なのではないでしょうか。
例えばiBookコンテンツに参加予定の出版社の一覧を見ると、、、
蒼々たるメンバーです。(各出版社については下の方に解説をつけておきました)
あれ?でも、おととい、こんな記事がなかったっけ、、、
McGraw-Hill CEO Confirms Apple Tablet, iPhone OS Based, Going to Be “Terrific” – Mac Rumors
(日本語はこちら:大手出版社CEO、アップル製タブレットの登場を認める)
マグロウヒルはどうしちゃったんだろう? おかしいなあ、と思って検索したら、こんな記事が。
McGraw-Hill axed from iPad launch after CEO leaks on TV | VentureBeat
あらまー、やっちゃいましたね。アップルの記者会見の前に提携予定をばらしちゃったら、ジョブスの怒りを買って一覧からはずされた、と、、(^_^;
記事では、
「音楽や映画業界だったら、こういう暗黙の了解はちゃーんと理解していたのに、それに比べて出版業界はいかに現実離れしているかがよくわかる具体例だ」
と皮肉ってますw
その暗黙の了解とは、
If you’re working with Apple, shut up about it until Steve has left the stage.
(アップルと仕事をしたいのなら、スティーブが舞台を降りるまでそのことをしゃべるな、ということだ。)
いやはや、どうなることやら。
さて、この出版業界のラインナップですが、ワタシなりに、このリストからアップルの戦略を考えてみました。
Penguin
http://www.penguin.com/
Penguin Readersといえば高校の英語の授業の副読本なんかで使った記憶のある方も多いでしょうが、英語学習用教材として有名です。レベル別に難易度を変えて書かれているPenguin Readersは特に知名度が高いですね。
ピアソン・ロングマン – 日本: ペンギンリーダーズ
本家のサイトを見ると、インド版、中国語版などもあり、英語圏の子供用のみならず、外国人向けの英語学習用としてのラインナップに非常に力を入れていることがわかります。
Harper Collins
HarperCollins Publishers
コリンズの英英辞典や類語辞典なら書店でよくみかけます。
English Language Reference – Collins Dictionaries – Collins Language
本家サイトHarperCollins Publishers を見ると普通の書店という感じですが、海外のインターナショナルスクール向けの教材や、児童学習用教材については専門のサイトCollins Education を設けて頑張ってますね。
SIMON & SCHUSTER
New Book Releases, Bestsellers, Author Info. & More at Simon & Schuster
個人的にはあんまり見かけないのですが、ここも教育者向けには専門のサイトTeaching Resources K-12 Teachers & Librarians – Simon & Schuster を設けてます。インターナショナル・サイトとして設けられているのはオーストラリア、カナダ、英国なので、英語圏向けオンリーのようですね。どうりで見かけないわけです。
Macmillan
Macmillan – Distinguished & Award Winning Global Publisher in 41 countries
ここは日本向け専門サイトMACMILLAN LANGUAGEHOUSE -マクミラン ランゲージハウス-がありますね。外国人向けの英語学習用コースブック(レベル別にテキスト、CD、ワークブックなどが付いている教科書です)や、Penguin Readersのようなレベル別のリーダーズ(マクミランリーダーズ)、IELTS(英国の大学に留学するときに必要な試験。TOEFLの英国版)の攻略テキストなど、豊富に取りそろえてあります。こちらMacmillan Asia – Macmillan Production Asia を見ると、China Publishing Divisionと、Macmillan Indiaの文字が。はからずも、海外のターゲットはPenguinと同じです。
hachette
Hachette Book Group – Home of Grand Central Publishing and Little, Brown and Company
Hachette Livre : L’actualité, le catalogue des éditeurs du groupe(本家フランスのサイト)
こちらは、フランス語学習教材が有名です。
Pearson Education Japan フランス語教材部
また、ディアゴスティーニみたいなコレクションブックスもありますね。ミニカー集めたりとか。
Hachette Collections Japan
この会社のインターナショナル拠点はヨーロッパと日本が中心。それからスペイン語圏の中南米や、ポルトガル語圏のブラジルもカバーしているので、アジアを除く世界をカバーしているという感じ。
McGraw-Hill(写真には写ってないけど)
Home – The McGraw-Hill Companies
昔、日経マグロウヒル、というのがありましたね。このマグロウヒルとの合弁でした。現在の日経BPです。児童向けの英語学習用教材もありますが、どちらかというと、ビジネス・パーソン向けの英語教材とか、大学・大学院レベルの教科書の出版で有名なのかなあ。ワタシも20数年前にポール・サミュエルソンの経済学を手にした覚えがあるんですが(それしか見てないとなると、池田信夫先生に怒られそうですね(^_^;)、ま、そういう世代です。)きっと今でも理系の学生さんを中心に原書のテキストとして親しまれて(?)いるのではないでしょうか。ここも、各国向けのサイトあり。アジアでご指名になっているのは、中国、インド、台湾です。日本はアジア太平洋でカバーされているのでしょう。
以上、英語の勉強に関心が無い方には、ふーん、という感じでしょうが、最近注目を浴びている多読法(SSS英語学習法)で英語力をアップしようと思っている人にとってこのラインナップはこの上なくうれしいものですね。多読というのは、より多く読んでいくことに意味があるのですが、紙の本だと重いし高い!(SSS推薦・多読用基本洋書のご紹介)こういうのがiBookで安価で変えるとなると、個人でもどんどん取りそろえていくことができます。
で、英語学習熱が高いのは日本だけではありません。英語学習市場は、目の前にどでかい物が控えているんです。そう、中国、という大物です。中国の富裕層が英語学習のために一斉にiPadで洋書を読み始める、、あながち想像できない図ではないですね。Second Lifeで英語学習専門のシムに行くと、中国人学習者の割合が非常に高いですし、EnglishPod という英会話学習ポッドキャスト(有料)は、中国人向け専用サイトを作った上で値上げする、という鼻息の荒いことをやっています。でっかいiPadは、小さい物好きの日本人など目じゃないんですね(^_^; PenguinやMacmillanは中国と並んでインドもターゲットにしています。中国13億人+インド10億人。もう1億3000万に満たない国はどうでもよくなってきます。例え英語学習者の割合が日本の十分の一以下でも、十分割に合いますね。
それから、えーと、写真には写っていないのですがw、もしMcrawhilの原書テキストがiBookになってくれたら、あの分厚い教科書の持ち運びから解放されるわけですね。学生さんや学者先生には願ってもないことだと思います。Kindleのように、しおりをつけたりメモを記入できたら、なおのこと。かつて学生の頃は(インターネットも携帯電話も無い時代でした)、分厚い教科書をリュックにしょったり、それでもしんどくて、教科書をバラして少しずつ持ち運んだりしたものでした。ほんとに今の学生さんはうらやましいぞw
まあ、全くの私見ではございますが、こういう見方もあるのではないかと。
で、結論としては、マグロウヒルのCEOは一日も早くジョブスに謝っちゃった方がいいと思います(笑)。