今時のバンド活動(5)ー AmazonでのCD販売
楽曲販売編その1は、CDの販売方法についてです。デジタルダウンロードについては「その2」で書く予定です。
さて、めでたくレコーディングも終了、ミックスダウン、マスタリングも終えて、ジャケットや、ライナーノーツも作って、バーコードもつけて、アルバム完成! それからプレスして、、、さて、どうやって販売するのか。あ、その前に、一連の製造工程についてはこちらのサイトに詳しく掲載されていますので、参考にしてください。
では、これを書いている2012年時点でDIY Musicianが販売できる方法と、その長所・短所を挙げてみたいと思います。いずれも実際にPlastic Soul Band(以下プラソル)で実践したものです。
1.店舗販売
ディストリビュータ(流通業者さん)にお願いして、Tower RecordやHMVなどの店舗に卸してもらう、という方法です。これはなんといってもDAIKI SOUNDで扱ってもらえるようになることが目標になりますが、他の流通業者さんやレーベルを通じてDAIKI SOUNDで取り扱ってもらうという方法と、直接DAIKI SOUNDに申し込む、という方法があります。後者の場合、プレス前の段階で申し込み、めでたく承認されれば、DAIKI SOUNDの方にプレスをお願いすることもできるし、著作権管理を委託することもできます。詳細はこちらをご覧になってください。
・メリット
とにかく店舗に置いてもらうことが実現、、、するかもしれませんw 店舗に置いてもらうことがむずかしくても、各CDショップが運営している通販サイトには掲載されます。検索すると出てくるのはウレシイですねw で、見込みがないと削除されちゃうみたいですが、これを書いている時点で、プラソルはまだHMVには掲載されておりました(^_^; 現実的な一番のメリットは、一度預けてしまえば、発送などの手間が一切かからないということでしょうか。
・デメリット
まず敷居が高い。流通業者さんの審査を通るとは限らないので、必ず実現する方法とは言えないわけです。また、めでたく取り扱ってもらっても、店舗に置いてもらえるかどうかはわかりません。実際に店舗で買おうとしてくださった方の話しを聞くと、取り寄せなのでいつ入ってくるかわからない、とか、中には品切れです、と言われたところもあったそうです。ワタシがプラソルのCDを店頭で発見したのは、自分の居住地域内で2店舗でした。セブンイレブンでの店頭引き取り、というのはうまく行っていたようですが、、そして、どこでどれほど売れたか、というのがバンド側ではほとんど把握できないという問題もあります。
2.Amazonのe託
こちらは、Amazonのe託サイトで申し込めば、すぐに販売を開始できます。
・メリット
確実に実現します。また、アマゾンであれば利用者が多いので、買う人にとっては最も敷居が低いものと思われます。 バンドにとっては、アマゾンへのリンクを貼ることによって宣伝ができるので、オンライン上では広報が容易だという手軽さがあります。音楽CD販売の場合は、ミュージシャン専用ページを作成して、試聴プレーヤーやtwitterをサイドバーに貼ることもできます。例えば、こんな感じ。また、当然ながら、いつ何枚売れたかが確実にわかるし、売り上げも直接バンド側に入ってきます。
・デメリット
アマゾンには在庫は置かせてもらえません。実際に購入手続きが取られたら、その旨の連絡を受け、こちらからアマゾンに発送、という手順になるので、発送のコストと手間がかかります。
また、アマゾンへの支払いも発生します。まず年会費が9000円。そして、CDが1枚売れると、価格の40%がアマゾン側に行きます。しかも販売価格は事前通知なく値下げされることもあるので、それを覚悟の上、コスト計算しなければなりません。さらに、発送コストとして封筒や郵送代がかかるので、例えば1,000円のCDが年間20枚売れても赤字です(^_^;
発送作業の問題も意外とあなどれません。連絡が来たら、すぐに発送しなければいけないので、バンドメンバーの中に平日にCDを梱包してそれを郵便局や宅配業者に持っていける人がいないと販売自体が困難になってしまいます。
3.ライブ会場で販売
ライブ会場で物販コーナーを作らせてもらい、ライブに来てくれたお客さんに直接販売します。売り子さんは、自分たちでやることもあれば、お友達に頼むこともありますね。
・メリット
最もコストが安く、またどんな方が買ってくださったのかも最も詳細にわかりますw
・デメリット
ライブ当日、ただでさえ忙しいのに、CDそのものの他にポップやCDスタンドなどの小物、おつりなど細々したものを準備して運搬しなければいけません。持っていく枚数の見積もりもけっこう難しく、思いの外たくさん売れて足りなくなっちゃった、なんて悔しい思いをすることもあります。また、メンバーがライブ終了後すぐに物販コーナーに戻って販売、というのはとても大変ですよね。
そして、とっても当たり前ですが、CD販売対象がライブ会場に来ていたお客さんのみ、ということになります。上の二つの方法だと、一応対象が無限大ではありますが、手売りの場合は目の前の数十人、多くても数百人、しかも既に持っている人もたくさんいるので、はじめから大量販売が見込めない、という寂しさがありますね。
以上、各方法を比較してみました。もちろん、ひとつにしぼる必要はないので、全部やってみてもいいのですが、コストとか労力に限界がある場合、いろいろと検討してみる必要があると思います。
実際にやってみた売り上げの状況ですが、
1位 ライブ会場
2位 iTunes Store(これは次回の記事で詳細を報告します。)
3位 Amazon
4位 店舗(実際は売り上げ状況不明)
でした。要するに、販売対象の大きさよりも、より多くの「割合」で買ってもらえるところに労力を注いだ方が良いのではないか、ということです。
これは正確な統計を取ったわけではありませんが、大体の感じでまとめると、
・ライブを見に来た人→会場で買ってくれる
・Second LifeやUSTなどのライブ中継をオンラインで見た人→Amazon, iTunes Storeで買ってくれる
・Podcastを聞いた人、Last.fmなどのMusic SNSで見つけた人→iTunes Storeで買ってくれる
といった感じでしょうか。そして、店舗の場合は
テレビで見た人
なんでしょうね、きっと。
プラソルもSecond Lifeの取材関係で3回ほどテレビに出ましたが、テレビ出演がCD売り上げに反映されたことはありませんでした(^_^; そりゃ、ニュースバラエティでちらっと紹介されただけでCDを買う人はいないでしょうw
テレビに出る→CDを買ってもらう、という流れを確立するには、気の遠くなるような金額を払ってスポットを出さなくちゃダメなんでしょうねえ。自分たちでいろいろやってみてほんとに実感しましたです。コストや投資した金額のケタ数と、収入のケタ数って同じなんだなって。数千円かけただけだと、戻ってくるのも数千円。億を期待するなら、億をかけないとダメってことですなー。
ま、要するに、自分たちがライブなどで露出したその場にいた人が買うのであって、その場にいなかった人に広まっていくことはまず期待できない、、、ということで、やっぱりどんな形でも露出回数を増やしていく努力をすることが大切なんでしょうねえ。
では、次回はiTunes Storeでの販売方法について書いてみたいと思います。