今時のバンド活動(6)ー iTunes Storeでの楽曲販売方法

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 このシリーズも終盤に入って参りまして、本日は最後から2番目、iTunes Storeでの販売方法についてお伝えします。
 楽曲のダウンロード販売方法にはいろいろとあるかと思いますが、なんといってもiTunes Storeに出すのが一番。理由は簡単、一番アカウント所有者が多いからです。あるバンドの曲がちょっとかっこいいな、と思っても、普段使ってないサイトのアカウント作成やクレジットカードの登録をしなければ買えない、となると、バンドとの関わりがよほど深くない限り、あえてトライする人はほとんどいないのではないでしょうか。
で、どうしたらiTunes Storeで売れるのか?
カンタンです。
(もちろん、この時点で、アルバムがジャケットつきの販売可能なCDにパッケージされていることが必要ですが)
CD Babyに登録する→49ドル支払う→アルバムの登録(オンラインで曲名などを入力)をする→CDをCD Babyに郵送する→3週間ほど待つ
これだけです!(英語はムリという人は一番下の★から読んでください)
2005年、CD Babyというものを知り、これならiTunes Storeで売れるらしい、でも手続き、本当にこれだけなの? 年会費はないの? と、にわかには信じられず、何度も何度もサイトの記述を読み返しました。当時の登録料はさらに安く39ドルだったと思います。バンドメンバーにこれを説明して納得してもらうのもタイヘンでした。まあ、39ドルだし、やってみるかー、ということで、CDを送って待つこと3週間。本当にiTunes Storeに出すことができました! 払ったのは確かに39ドルだけで、会費のようなものは一切ありませんでした。この頃はiTunes Storeに直接出品可能な日本の流通業者さんは二つぐらいしかなくて、メジャーレーベルでも半年以上待たされると言われていた時代です。CD Babyで喜多郎さんのアルバムが売られているのをみつけ、なるほど、この方法、知る人ぞ知る、っていうやり方だったんだなあ、と思いました。ワタシがCD Babyを知るきっかけになったのは、Podsafe Music Network(現在のMusic Alley)に登録していたDIY MusicianがみんなCD Babyのバナーをつけていたからなんですが、なるほど、そりゃみんな登録しますわ、これは。
ご参考までにCD Babyの主なサービスを挙げておきましょう。CD盤やアナログ盤の販売もやっていますが、ここではデジタル部門のご紹介だけしておきます。
【登録手続き】
・CD Babyにアーティスト登録をしたら、49ドル(シングルの場合は9.95ドル)を支払う。
・CD5枚をCD Babyに郵送する。
 なお、デジタル販売のみの登録なら、オンラインで曲やジャケットをアップロードして登録することも可能です。しかしながら、曲もジャケットも圧縮されていない状態のデータを送るので、むしろめんどう。CDをエアメールで送ってしまえば、デジタル化はむこうでやってくれるので、こちらの方が手間入らずだと思います。但し、自分でアップロードすれば3営業日ぐらいでiTunes Storeでの販売が開始されますが、郵送の場合だとCDがあちらに到着してから3週間ほど時間がかかります。
 ★楽曲登録の際の注意点★
・予め、一曲ごとの歌詞・曲の著作権者名をはっきりさせておく。「バンド名」はダメ。
・CD Babyからの送金を受け取るPaypalアカウントを作っておく。これも個人の登録になるので、バンドメンバーの誰がお金を受け取るのか、予め決めておく。後でモメないようにw
・iTunes Storeに流せるサービスは他にもあるが、CD BabyならCD Babyひとつだけに決めた上で、そこでUPCコード(デジタル曲にくっつけるバーコードです)を発行する。同じ曲のUPCコードを他のサイトでまた発行する、というように重複させるのはダメ。同じ曲が重複して登録されてしまいます。
・タイトルが日本語のものは英文タイトルを併記する。海外のダウンロード販売サイトでは日本語が表記できないものもあり、?????というタイトル名の羅列になってしまうものもあるからです。
【報告・支払】
・めでたく売り上げがあった場合、デジタルの場合は、CD Babyが9%のマージンを引いた後、バンドの収入として加算されます。例えば、iTunes Storeなら、1曲0.99ドルからAppleがその30%を引き、CD Babyが残りの部分から9%を引き、結果、0.63ドルがバンド側にいきます(iTune Store Japanだと約1ドルになります)。
・売り上げはすべて記録され、いつでも見られるようになっています。iTunes Storeだと、Apple iTunes(米国)のほかに、iTunes Canada, Australia, UK, Europe, Japanが別になっているので、いつ、どこで、どのくらい買ってくれたのか、詳しくわかります。
・収入がたまったら(何十ドルごとに入金、と設定できます)、Paypalで振り込んでもらいます。Paypalからは、普通の日本の銀行に振り込むことができます。
【iTunes Store以外への配信】
CD Babyにアルバムを登録すると、自動的に主要なダウンロード販売サイトに登録されます。また、CD Babyが直接ダウンロード販売をやっているので、そこからの売り上げもありました。
どこで配信されているか、については、サイトのリストがバンドの登録ページで見られるようになっています。登録後、ちょっとずつその数が増えていくのを見るのはワクワクしましたねー。大体30から40カ所ぐらいに配信されていたと思います。ただ、そういう配信サービスは生存競争が激しく、生き残れずに消えていくサイトもあるので、40カ所全部でまんべんなく売れる、というわけではありません(^_^; 配信サービスごとの売り上げを見ると、やはり非常に偏っており、で、その偏りが突如として変化することもあり、そんな様子を見ていると現在世界でどのサイトにユーザーが集中しているか、手に取るようにわかります。
 例えば、現在でも売り上げの金額から見たら断然iTunes Storeがトップなのですが、実際にプラソルの音楽が一番流れているのはSpotifyです。これはStreamingなので、再生一回あたりの収入が、大体0.006〜0.01ドルwぐらい。それでも累計で15.53ドルになっているので、少なくとも1,500回以上は再生されたという計算ですね。一体どんなサイトでどのように流れているのか、、、チェックしたいのですが、日本からはアクセス不能。著作権の関係でサイト閲覧は特定の国の居住者のみに制限されているのです。まあ、日本でこのようなサービスが定着していくのかどうかはわかりませんが、世の中動いている、ということだけはわかりますよね。また、last.fmもけっこう健闘しており、いまだにかなりの再生回数があるようです。
 ちなみに、最近プラソルの楽曲が買ってもらえたサイトは次の通りです(順不同)。
iTunes (Europe, UK, Austratlia, Canada, Japan)
Rhapsoday
MediaNet
Napster
Amazon MP3
Last.fm
Spotify
Emusic
Nokia
Lala
Ruckus
Liquid Digital Media
 これ以外で、CD Babyが主要サービスとして押している配信先は、以下の通り。
My Space
Zune
Google Music
iTunes Match
 下の二つは日本ではサービスが始まっていませんが、これからのものとして要チェックですね。特にiTunes Matchは、アルバムがCloudにアップされれば、ストリーミングとして再生されても、再ダウンロードされても、その時点で支払が発生する、というものです。ユーザー側はもちろん無料なのですが、ミュージシャンにはちゃんとロイヤリティが支払われるんですねえ。あー、そういう仕組みになっていたのか、と納得していましました。また、登録しておけば、YouTubeで使われたらロイヤリティーを払ってもらえる、というサービスもあります。
【その他のサービス】
[有料サービス]
・CD、アナログレコードの直接販売とAmazon Market Placeへの出品(マージンはアルバム一枚あたり4ドル)
・バンドのWebサイト作成
・CDのバーコード発行(デジタルのUPCコード発行は無料)
・CD作成:最低300枚。300枚だと、プラケース入りで229ドル。
[無料サービス]
・Facebookアプリ、Webサイト貼り付け用ウィジェット:いずれもリンクはCD Babyでの購入サイトに行きますが、それ自体は使われなくても、試聴機として十分役に立ちます。例はこちら。
・CD Babyのニュースレター:これがあなどれません。Google MusicとかiTunes Matchのように、これからはじまるサービスがどんなものか、SNSやYouTubeの有効な使い方など、役に立つ情報が満載です。
★英語はムリ、という人には★
 バンド活動を長くやっていくのなら、英語はできた方が断然有利だと思います。会話ができなくても、サイトに登録したり、なにかあったときにクレームのメールが書ける程度の読み書き能力があれば十分。もしあなたがまだ学生さんだったら、バンド活動休止してでも死ぬ気で半年から1年英語を勉強した方が今後の活動の効率がグッと向上すると思います。
 どうしてもダメなら英語ができる友達を探してください(^_^;
 いや、それもあかん、というひとには、CD Babyのサービスを代行してくれるサイトを紹介しておきます。但し、全部のサービスが受けられるわけではないので、登録前によく確認する必要がありますが。
Monster.fm
Router.fm
 では、次回は最終回の「広報編」をお届けいたします。

Lucy

Second Lifeに棲息しつつ、いろいろと音楽を勉強中です。詳しいプロフィールはこちら http://lucytakakura.com/about-lucy

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