個人競技をチームで戦うニッポン
最近のスポーツ選手は、メンタルコーチの影響もあるのか、みんな楽しそうです。インタビューすると申し合わせたように「楽しめました」「感謝します」という言葉が出てきますしね。
そして、今回のオリンピックでは、「楽しそう」に加え、競泳のような個人競技でも「チームで一緒に」、という要素が加えられたのではないか、という場面があちこちで見られました。
競泳男子200m背泳ぎ 決勝インタビュー(入江陵介) gorin.jp ロンドンオリンピック公式競技動画
このインタビューで入江選手は「競泳は27人で一つのリレーをしているようなもの」と言っていますよね。この発言が出たのは、あきらかに、代表選手の男女合同合宿の影響ではないかと。合宿の映像をちらっと見たんですが、とても楽しそうだったし、「日本選手みんなで一緒に」という雰囲気作りにとても効果的だったように見えました。この合同合宿、関係者はやはりそういう意図で行ったのでしょうか。
そして、陸上女子1000mのインタビュー。
新谷仁美、福士加代子、吉川美香インタビュー(陸上女子10000m決勝後) gorin.jp ロンドンオリンピック公式競技動画
女子校の昼休みみたいに笑いながら「3人娘で頑張ります」というインタビューを見て、解説の松野明美さんが「時代は変わりましたねえ」と思わずため息をもらしていましたw 10000mなんて、競技場のトラックだけを30分も延々と走り続ける「孤独な戦い」を象徴するような競技です。ソウルオリンピックで松野さんが出場した時、なかば悲壮感を漂わせるぐらいの「戦い」をしていたことを思い出すと、隔世の感がありますね。
で、これは、選手達が脳天気だからこうなったのではなくて、ちゃんと監督の指示があったのでした。
(動画はそれぞれ最初に広告が出ますので本編に入る前にちょいとガマンしてください。また、オリンピックが終わったらこのリンクは切れてしまうと思いますのでご了承ください。)
福士加代子インタビュー(陸上女子10000m決勝後) gorin.jp ロンドンオリンピック公式競技動画
「うちの監督が、日本チームで位置をうまく取ってペースを作ったらというので先陣を切って参りました。」ということだったんですね。
で、それは、とても効果的な作戦だったようで、福士選手も「新谷が自己ベストを更新したのでうれしい」と言っています。
新谷仁美インタビュー(陸上女子10000m決勝後) gorin.jp ロンドンオリンピック公式競技動画
そして、新谷選手本人も、「福士さんと美香先輩がいてくれたのでリラックスして走ることができました」とのこと。
ということで、三人娘チーム作戦は、選手の実力を十分に発揮する上で大成功だったようです。
このインタビューを見たときに、「あれまあ、いつから10000mは団体競技になっちゃったんだろう」なんて思いましたが、これは選手の世代が変わったというだけでなく、指導者の方達が意図的に環境作りをした結果なんですね。
この作戦、日本ならではかな、と思ったら、
柔道女子78kg超級 3位決定戦(ハイライト) gorin.jp ロンドンオリンピック公式競技動画
この動画の2:50あたりに出てきますが、イギリスのブライアンと選手が銅メダルを獲得したときのイギリス代表選手たちの喜びようで、イギリスも「チーム一眼となって」やってきたことがわかります。イギリスの柔道選手たちは「チームGB」として結束力を高めてきた、との解説がありましたが、これは言われなくても選手達の様子を見ているだけでわかりますね。
これからは、個人競技も、根性勝負で孤独な戦いを続けるものではなく、チームで協力しあいながら実力を十分に発揮できる環境を作っていく、という時代になるのかもしれませんね。