A列車で行こう!-サウンド編

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 最近になって、歌もののA列車を聴き始めた。Ella FitzgeraldとDuke Ellingtonオーケストラの1957年ヴァージョンはなかなかおもしろい。あの有名なイントロのあと、すぐにテーマに入らず、クラリネットでやってるのだろうか、汽笛のような音が入る。それに続くエラのスキャットが絶妙だ。ウラ入りで刻んでいる低音の管楽器や、ドラムのチチーチッ、チチーチッを聴いていると、列車の車輪がリズミカルに回転しているのが目に浮かんでくる。あちらさんじゃ、列車もスィングしながら走るのかなーなんて思えてくる。
 音楽というものは、どうしても日常に聞こえてくる音、もしくは聞こえてきてほしい音を模したものになるものだ。小鳥のさえずりや小川のせせらぎが聞こえてくる環境であれば、ピッコロとかバイオリンとか。まあ、それが基本というか、本来そういうものなのかもしれない。そして、聴衆がそういう光景を思い浮かべるようなら、アレンジも成功、なのであろう。
 20世紀に入って、人間の周りの音が激変したのに伴い、音楽も変わった。80年代あたりでは電気、機械音に取って代わり、電子音も侵攻してくる。そして電子レンジが「チン」から「ピー」という電子音に変わった後どうなるかと思ったら、今度は「焼き上がりました」というおねえさんの声になってしまった。技術的には発達したのだが、音的には後戻りしたかっこうだ。音楽はどうなるんだろう。ざまあ見ろという感じではあるが。
 そんな中で、個人的にはこの「A列車で行こう」のエラ・ヴァージョンと、ディープ・パープルのHighway Starは20世紀における大傑作だと思っている。両方とも曲のスピードが速くなっていくわけではないのに、車が走っているドライブ感が随所に感じられる。規則的な低音リズムに乗って高い音を出したり引っ込めたりするとスピードが出ているような気になるからおもしろい。加えて、Highway Starの方はカーブを何度も曲がる様な感じも表現されている。
 そういえば、一回だけ人前でHighway Starを弾いたことがあるが、練習していて、30年以上前にやった「ハノン」の練習曲を思い出した。よく考えると、ディープ・パープルっていうのは、とても基本に忠実な人たちだったのね。世の中風貌に惑わされてはいけないのである。
 なんだか、話が大幅にそれてしまった。「A列車」は続編へ。

Lucy

Second Lifeに棲息しつつ、いろいろと音楽を勉強中です。詳しいプロフィールはこちら http://lucytakakura.com/about-lucy

A列車で行こう!-サウンド編」への2件のフィードバック

  • 2005年2月6日 @ 04:07
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    ベースにはまってる30代、です。お題の曲は、ストレイホーンがエリントン宅に向かうにあたり、指示された行き方をもとに書いてしまったらしいですな。Ken Burns制作のジャズの歴史のDVDで仕入れたネタです。keep on swinging!

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  • 2005年2月6日 @ 12:02
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     ジャズの曲についてのコメントははじめてです。嬉しいなあ(泣)ありがとうございました!そんないきさつで曲ができていたとは知りませんでした。Key BurnesのDVDって、あの、3万円以上する、あれですよね? うらやましいです、、、
     ちょっとさぼり気味ですが、また1曲ごとのつぶやきも書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします!

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