12分の1拍の憂鬱
重慶騒ぎですっかりジャズから遠ざかってしまった。土曜日になる前にひとつ書いておこう。
ここのところ、ジャズヴォーカル・レッスンのお題は「スウィングしなけりゃ意味がない」である。ドゥワ、ドゥワ、というスキャットが入っているあれだ。
ワタシはこの「スウィング」が好きでジャズをやっているのだが、なのに、「スウィング」ができない。もうアドリブ以前の問題である。サックスを吹いているときはもうちょっとましだと思うのだが、歌となると、もうやめようかと思うほど壊滅的だ。
この歌、随所にシンコペーションが出てくる。これは、簡単に言えば、拍のド頭よりちょっとだけ早く出てアクセントをつける技法だ。
スウィングというと、1、2、3、4、がダーバ ダーバ ダーバ ダーバとなる。ダーバで1拍。そして「ダ」「ー」「バ」がそれぞれ3分の1拍となる。「ダー」と「バ」の比率は2対1、これがスィングのフィールだ。
ところが、この感覚に慣れない初心者は「ダーバ」の「ダー」が付点8八分音符になり、「バ」が十六分音符となりがちだ。比率は3対1。シャッフルだ。別にシャッフルが悪いわけではない。シャッフル、かっこいい。しかし、ジャズをやります、という顔をして結果がシャッフルになってしまうと、とてもかっこ悪い。しかもそれがフロントに立った自分だけ、という場合なおさらだ。
そして、このシンコペーションの場合、「ダ」からではなく、「バ」から入って音を伸ばすわけだが、スウィングの場合は3分の1拍前から入ることになる。でもこれができなくてシャッフルになると、4分の1拍前から入っていることになり、3分の1引く4分の1=12分の1拍遅れて入っていることになるのだ。遅れる→バックが先に行ってしまう気がする→追いつこうと焦る→忙しくなる→余裕がなくなる、ということで、聞いている方もなんだかせわしない、かっこ悪いものとなってしまうのだ。
ヴォーカルレッスン初日、ワタシの歌の番が終わると先生が「ここが3連符(3分の1拍)になっていないんですね。だから遅れてるように聞こえます」とはっきり指摘した。また、これは前から自分でもなんとかしようと思っているのだが、同居人にも「なんかはねてるよ」と言われる部分が多々ある。シンコペーションを強調するあまり、発音した瞬間に上にはね気味になるのだ。歌よりちょっとはましななずのサックスでもNOW’S THE TIME のテーマがタラッタラッタラッタ うっさぎぃのダ~ンス~になってしまうのである。
なんのことはない、今より12分の1拍だけ早く出ればいいのであるが、1回や2回成功することがあってもちょっと気を抜くと失敗する。ということは、ちゃんと乗り切れてないのである。「おっ、ここだっ」みたいに入るから力が入るしハネてしまうのかもしれない。
先生には「カウントベイシーをよく聞くといいですね」とアドバイスを受けた。先生、聞いてるんですよ。いや、吹いてるんです、カウントベイシー。言えなかった。
自分の歌の録音を聞いてみる。スキャットの部分は歌詞がついてるところよりずっとましだ。うーむ、これからは全部スキャットで歌うかなー(笑)
さて、今日もれんしうするか。