WSJ メタバースの構築方法 第3回 ゴールデンタイム(要約と回想)
前回の記事に引き続き
Wall Street Journalのポッドキャスト「Journal」2022年10月7日配信
How to Build a Metaverse, Part 3: Prime Time
を紹介します。第3回は、2007年のブレイクのお話です。Lucyが知っているのはこの辺からですね。
当初、Linden Labはすべての土地を自社で所有していましたが、そのうち、それを売ってほしいという人が出てきました。「島ひとつ1200ドルですけど、いいですか?」「わかった、6つ買おう」という具合です。プライベートシムの需要の増加は相当なものでした。
また、Second Lifeの中での経済も活況となり、衣類やヘアスタイルも売買も盛んになりました。そして、最も売れたのが、アダルトコンテンツでした。Second Life内通貨がドルに交換できるようになると、お金を稼ぐ目的ではじめる人も増え、中には100万ドルを稼ぐ人も出るようになりました。ハムスターのアバターを作り、ハムスターの農園を作っては水車などのアイテムを売って、本業の銀行マン以上を稼ぐようになり、ついに本業をやめてしまった、という例もあります。
現在のメタバース、例えば、SandboxやRobloxはちょうどこのあたりですね。実は15年前のSecond Lifeでまさに同じことが起こっていたのです。Ben Foldsのライブが行われたり、スウェーデン大使館が、ヴァーチャル大使館を開設したり。そしてついに、CBSテレビが、人気探偵番組CSIとのトランスメディアプロジェクトを企画します。実は、これが「終わりのはじまり」でした。Second Lifeとコラボしたドラマの放映直後、アバターの急増に備え、サーバーの増強をしたり、相応の準備をしましたが、とても追いつきませんでした。今ならまだしも、15年前のことです。サーバーの負荷や帯域の混雑で限界をきたしました。運良くログインできたとしても、一斉に同じところに入るので、アバターの頭の上にまたアバターがのっかっていく、という状態で、スタッフは手作業でアバターを別の場所に飛ばして分散させていたそうです。
しかしながら、CSIはライターのストライキでドラマの続きが出せず、Second Lifeのコラボも中途半場のまま、犯人も分からず仕舞いという状態。また、これまでのユーザーのように、ゲーマーでも、新しいもの好きのネット民でもない人達が来ても、Second Lifeで何をしていいのかわかりません。75%の新人が挫折してしまい、二度と戻ってきませんでした。
[Lucy回想]
日本ユーザーが大量に入ってきたのも2007年ですが、この後2年ぐらいは活況だったのではないかと思います。番組ではとりあげられませんでしたが、日本だけではなく、香港、韓国、ブラジル、ロシアなど、非英語圏からのユーザーが増加し、2007年はCSIのバブル崩壊以降もなんとかなっていたのでは、と思います。Anche Chengという中華系の不動産会社が一財産作ってたのも2006年〜2009年ぐらいだったのではないでしょうか。まあ、当時は日本でもSecond Lifeをやっているというだけでテレビや雑誌の取材を受けたり、ムック本に特集されたり、と大変な盛り上がりがあったと思います。なつかしいですね。
第4回へ続く。
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